不動産業は賃貸型と開発型の2種類がある。賃貸型の代表は三菱地所です。再開発中の丸ビルを始め、東京・丸の内など都心一等地に土地を保有し、収益の中心は賃貸収入が占めます。開発型は三井不動産です。むろん三井も東京・日本橋室町を中心に多くの土地を所有していますが、収益の中心はマンションや団地開発による分譲収入です。この2つのタイプとは別に街の不動産屋があります。事業規模は前2社とは比較になりませんが、事業者数としては圧倒的に数が多いです。
さて、不動産業には地価の動向が大きく影響するのは言うまでもありません。地価には公示地価、路線価格、基準値地価と実勢価格の4種類があります。不動産業界志望でしたら知識として覚えておく必要があります。
その地価はバブル崩壊以前の水準に下落しました。今後、地価は反転上昇するのか、なお下落するのかが焦点となっています。不動産業界にとって地価の下落は資産価値の下落を意味しますが、悪いことばかりではありません。収益還元法という、予想される賃貸収入から逆算して土地の適正価格を算出する方法がありますが、これで計算した地価はほぼ底値圏となります。良好な立地条件の土地を手当てできますし、テナントも集めやすくなります。超高級マンションの販売好調がその一端を示しています。
2003年問題――不動産業界の内部でささやかれているキーワードです。2003年前後に大規模なオフィスビル建設プロジェクトの多くが完成します。その結果、オフィスビルの供給過剰が懸念され、なお地価の下落を招くのではないかと見られているのです。一方、開発・分譲など住宅販売の分野はマンション販売では人気不人気が鮮明化しています。前述したように超高級マンションは売れ行き好調ですが、郊外型は販売不振です。既に日本の住宅ストックは世帯数を上回っています。少子化が進み住宅の絶対的な需要はとっくに頭打ちしているのです。開発型はこれまで以上に住宅の質の向上に対する企画力が求められています。