生命保険業界の最大の話題は株式会社化です。これまで生保は相互会社とう形態にありましたが、同和生命が2002年春に株式化し、株式市場に上場しました。同和以外の各社も株式化を検討中です。生命保険が株式化を指向している理由は企業統合や合併に際して、株式会社の方が手続き上、簡単なためです。
事実、損保業界では、東京・日動・共栄が、安田・日産・大成が、三井・住友などがグループ化、或いは統合し、相手となる生命保険にラブコールを送っているのが現状です。既にニッセイ同和損保が誕生していますし、グループ化した損保と生保とは業務提携に動き出しています。それは銀行業界でも触れたように銀行が4大グループに再編されたのと無縁ではありません。いずれ生保損保も銀行の4大グループの系列の元で大きな金融グループを形作ることになりそうです。
最大の問題は予定利率です。生命保険は契約者から集めたお金を企業貸し付けや不動産、株式投資などで運用し、将来の保険金支払いの原資としています。契約者に支払うと約束した利回りが予定利率です。運用が予定利率を上回る成績を上げていれば問題はありません。
ところが現在は公定歩合が0.1%という低金利です。株式相場の低迷など運用は高利回りを得られる状況にありません。反面、予定利率はバブル期の高いままなのです。つまり運用利回りが予定利率を下回る逆ざやになっています。この逆ざやが生保の経営を圧迫しています。
保険内容が見直せる新商品に力を入れ始めました。これまでの主力商品である定期付き終身保険とは異なり、死亡保障や医療保障、介護保障などの保障機能と貯蓄機能を分離し、契約者の生活に合わせて保障内容を見直せるものです。金利動向によって予定利率も変更できることも特徴です。これはいわゆる第3分野と呼ばれる生保と損保の中間型商品です。高齢化が進む日本では第3分野の成長が早くから予想されており、各社とも新商品開発にしのぎを削っていました。