商社は大きく「総合商社」と「専門商社」に分類されます。総合商社の守備範囲は「宇宙開発からトイレタリー製品まで」といわれるように、文字通りあらゆる分野の流通に関与しており、専門商社は業界ごとに存在します。
商社の過去10年はリストラの10年と言われています。これはこの業界に限ったことではありませんが、90年代前半の過剰投資の精算、後半は97年の金融危機、98年のアジア危機への対応で各社は体力をすり減らしてきました。このため総合商社各社は2000年から2001年にかけて相次いで大リストラを断行しました。現在では総合商社8社全てが提携関係にあるほどです。
またインターネットを中心とするIT技術革新によって専門商社を含め一時、商社不要論が台頭しましたが、ここに来て再び情報流通の面で商社機能が見直され始め、不要論は影を潜めつつあります。競争激化によって産業界、特にメーカー本業に経営資源を集中するようになると商社の持つ情報価値が高まってきたためです。
さらに小売業の資産売却の受け皿となるケースや、企業統合など産業界の縁組み仲介機能の面で新たな商社の役割が生まれつつあります。
ベンチャー企業を育てる資金的、経営的支援をインキュベーター(孵卵器※ふらんき)と言いますが、商社機能の1つにこのインキュベーター機能が加わりそうです。
各社がハイテク分野を対象に創設したハイテク研究所は基礎的な研究成果を現実のビジネスや商品、製品に応用できるまでに育てるのが目的です。
さらにナノテク(超微細技術)やバイオテクノロジーなどの分野が対象で、将来は商社がベンチャーのエンジェルになる可能性が大きくなると思います。