ここ10年来でこの業界ほど大きな変貌を見せた業界はないといっても良いでしょう。電電公社民営化など規制緩和とIT(通信技術)の革新が相乗的に変貌させました。現在、通信会社はNTT、KDDI、日本テレコムの他、NTTドコモ、AU、ソフトバンクなどの携帯電話会社、外資、外資系、インターネット事業者など通信会社数は300社を超えます。
しかも、ここ2、3年の間に国境を越えた業務提携、資本参加、M&A、合併が展開され、さらにそれから派生したITバブルが崩壊して、業界はやや混乱状態にあります。投資先企業の株価低落などが業績に大きな陰を残した通信会社も数知れません。こうした後遺症の処理が落ち着いて、新たな業界秩序が形成されるのはまだ先でしょう。
ただ、企業向け通信サービスはITの猛烈な革新により高度なサービスが続々と開発されており、需要家である企業側も積極的な設備投資で対応し、それを取り入れている現状にかわりはありません。 通信基盤の優劣が勝ち組と負け組を分ける要素と言っても過言ではなく、この業界はなお高い成長力を持っているのは間違いないでしょう。
ブロードバンド(広帯域)時代が始まりました。NTTの高すぎる通信料金が障害となっていましたが、突破口となったのがADSL(非対称ディジタル加入者線)です。
電話回線の未利用帯域を利用し、高速大量のデータ通信が可能なADSLは利用者数が2002年3月末現在、247万8795件に達し、1年前に比べ33倍に激増しました。光ファイバーを使用したCATVの顧客層を侵食する勢いです。
もう一つのブロードバンドの有力なインフラである光ファイバーを使用したFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)も一部でサービス提供が開始しました。全国ベースで中心となっているのはNTTですが、電力会社も保有している光ファイバー網を利用し、攻勢に出ています。FTTHはNTTと電力計全面戦争的な色彩を濃くしつつあります。